« 2006年4月 | トップページ | 2006年6月 »

2006.05.23

捨て台詞

カルト芸人だった故・マルセ太郎のネタに「キジマさんの話」と云うのが有る。

喰えない芸人であるマルセの為に、妻がスナックを経営しているのだが、
そこに現れる常連客のキジマさんの酔態がネタに成っている。
キジマさんは悪い人ではないのだが、所謂酔って来るとクドクドと人に絡む性質で、
その際に喋る内容が如何なる話題でも同じ帰結を迎えると云う内容だ。

つまりこうである。
「別に良い、やりたきゃやりゃあ良いんだ」→「但し責任だけは取れよな」→
「世の中そんなに甘いもんじゃない」→「人間なんて汚いもんだ」と云う展開だ。
例えば同席した客が「息子が学校を辞めて海外に出たいと云うのさ」と云う話に、
キジマさんは間に諸々挟みつつ上記の如き展開を経て、
常に「人間は汚い」と云う結論に帰結する訳である。
これが「耐震疑惑」でも「ペットの無駄鳴き」でも「女優が結婚」でも、
常に同じ論理経過を辿って「人間は汚い」と云う所に収まるのだ。
これがまたマルセの名調子で語られると非常に情けなくも可笑しい話に成る。
まあしかしそんなの実際に眼の前にしたら笑うけどイヤだよなぁ・・・

等と思っていた先日・・・・
貧しいが故によく行く激安ラーメン屋に晩飯を喰いに行った。
平日の夜の10時ごろなので客も疎ら(って何時行っても空いてるけど)だが、
労務者風の親父と角刈りの親父がビール飲んで気炎を上げていて、
その後ろに座って飯を喰っていたのだが、その内妙な事に気付いた。
目の前に座っているのがどうも労務者風の親父と角刈りのおばちゃんらしいのだ。
と云うか角刈りの男の姿をした女・・・まあつまり平たく言えばオカマ訳だ。
いやそれがもう甲高い声のトーンと云い言ってる事の内容と云い、
昨今中々直に観れない、実にトラディショナルなオカマなのである。

とにかく安い酒でグダグダに成っていて何を話しているのか要領が掴めないが、
親父が諸々の不満を述べてそれに対してオカマが意見する様な感じだ。
しかしこれがオカマの出す結論と云うのが何に対しても同じな訳だ。
「・・・が何だって言うのよ?冗談じゃないわよ、オカマを舐めるなってえのよ。」の、
・・・部分がその都度変わるだけなのである。
「勤め先で若いのが煩い」「仕事先にヤクザが来る」「都知事はナニ考えてる」
その都度、「オカマを舐めるなってえのよ!」と来る訳である。
笑ったなぁ・・・・餃子が口に運べなくなりそうだったわ。

まあキジマさんにしろ角刈りのオカマにしろ酔客には良く有る捨て台詞な訳だが、
しかし何なんだろうな、あのオカマ特有の全能感ってえのは。
オカマだからどっからでも来い!なのか、オカマ故に文句有るか?なのか。
まあ美輪のお婆ちゃんみたいな「ザ・美輪」としか言えぬ存在は良いとして、
訳有りそうな角刈りのオカマでさえ豪語させるオカマのアイデンティティとは・・・

| | コメント (0) | トラックバック (2)

2006.05.18

最近買った紙ジャケ其の10

さて久し振りに紙ジャケを取り上げようかと思う。

常々断ってるが(誰にだ?)別に最近購入していないと云う訳では有りません。
基本的に取り上げたい紙ジャケはギミック物だと思っているので、
単にシングルジャケで再発された紙ジャケとかは、
買ったとしても書くほどの物でなし、と云う感じで取り上げていないのだ。
つまりここの所「グッ」と来るギミックの紙ジャケが出ていないのだ。

とか言いつつそう云う物が出れば直に飛びつくか?と言われたら何とも言えずで、
来月にギミック物紙ジャケでは横綱級のブツである、サンタナの日本ライブ盤、
横尾忠則が手掛けた22面体ジャケでお馴染みの「ロータスの伝説」出る。
アナログ時代でさえ壮絶に展開するジャケが威容を放つブツだったが、
現行CDではカットされてた頭の黙祷も復活し、三枚組みに成るらしい。
しかしそれだけに、それだからこそお値段が何と7千円近い。
確かにアナログ時代もお高かったが、流石にこの値段には二の足を踏む。
う~む、しかしブツを手にしたら物凄く物欲が湧き上がるだろうなぁ・・・・

値段で二の足を踏みそうになったと言えばこれも結構そうだった今回の1枚目、
英国フォークロック界の重鎮スティーライ・スパンの3枚目「Ten Man Mop」。
スティーライは中心人物だったアッシュリー・ハッチングスが脱退後の、
クリサリス時代の作品がリンディスファーンと一緒に紙ジャケ化されたが、
やはりハッチングスが在籍当時のハードコアなフォーク時代の初期が聴き所だ。
輸入盤で初期の3作が再発されたのを見て「もしかすると?」と買い控えたが、
予想通り紙ジャケ化がアナウンスされてしめしめと思ったもんだった。
所が今回BBCの未発表音源が丸まる特典ディスクとして付属する事に成っていて、
これが付いたお陰で一気にお値段が4千円近くまでアップした訳だ。
まとめて三枚買っちまいたいのは山々な訳だが2枚組みの2ndと3rdが痛い。
そんな全く貧乏臭い理由で紙ジャケとして価値の有る3rdを先に購入した訳だ。

紙ジャケとし価値が有る、と云うのはジャケの豪華さに由来する。
学術書の革装の様な特殊紙に重厚な金の箔押しが成されたジャケは、
表紙に使われたアンティークな写真と供に歴史有る古書の様で趣味が良い。
勿論それは学究派と言われるスティーライのサウンドにもフィットした物だ。
見開きの内ジャケは墨の吹流しの様な不思議な模様がプリントされていて、
付属する内袋も同じ柄に成っていてちゃんと再現されて付属している。
如何にも英国の田園紳士・淑女と云う感じの背景やポーズで、
メンバーが納まった写真が掲載されたブックレットも付属している。

スティーライの代表作と言える今作だが、そのハードコアなトラッド志向の為に、
ジャケの印象同様に非常に重厚で格調の高いサウンドが特徴だ。
ただ今回ボートラでシングルのみでアルバムに収録されていなかった、
「Rave On」とアウトテイク物の「General Taylor」が収録された事で、
何処か突き放した様な印象のアルバムが親しみ易く成った感じがする。
オリジナルを尊重する人には不評かもしれないが、ノリの良いオールディーズ風で、
軽やかにハミングされるコーラスで展開されるこの2曲は結構好きに成った。
ちなみに付属のBBC音源は音質が極悪でファン以外には辛い内容だと思う。


さて時期はちょっと前に成るが同じアルカンジェロの高額商品繋がりで、
テンペストの集大成物と言える三枚組みの「Under The Blossom」を紹介。
こちらもBBC音源をオリジナルの2枚と組み合わせた商品だ。
但しこちらのBBC音源はかなりメインと呼んでも良い貴重なアイテムである。
1枚目を残して脱退した既に巨匠なアラン・ホルズワースと、2枚目から加入する、
元パトゥの職人オリー・ハルソールのツインギターが聴けると云う凄いブツだ。
唯我独尊で超絶技巧な技を決めまくるホルズワースのソロも凄いが、
それをサポートしつつ小業を交えた通好みなプレイで主張するハルソールの見事さ、
勿論ハイズマンとクラークのコロシアム組みのリズム隊は言う事無しである。

テンペストのオリジナルは2枚とも以前紙ジャケ化されて発売していたが、
未購入だったのでまとめて揃うのは嬉しい、しかもどちらも特殊ジャケだ!
1stはクトゥルー神話に出てくるヨグ・ソトースの如き奇怪な生物が描かれていて、
蓋を開けて上から盤面を取り出す様な仕組みの特殊ジャケに成っている。
蓋を開けたその下にも生物が描かれていて何かの絵画作品なのかもしれない。
2ndはテンペストのPの字と描かれたゴーゴンの口の所が切り抜かれており、
内袋のライブ写真とアルバムタイトルが覗ける様に成っている。
裏表どちらを入れてもちゃんと正しいジャケに成る所が良く出来ていると思う。


さて最後は意外な所からユニヴァーサルの「名盤の殿堂」シリーズからの1枚、
デイヴ・メイソンの「Alone Together」の紙ジャケを紹介。
メイソンはスティーブ・ウィンウッド等と組んだトラフィックで知られる人物だが、
クラプトンよりも早くアメリカのスワンプ勢と接触して今ソロ作を制作、
リオン・ラッセルやデラ・ボニ夫妻、ジム・ケルトナー等の重要人物が多数参加し、
イギリスにスワンプやルーツ・ミュージックを紹介した功績は実に大きい。
通好みな泣きのギター曲や寛いだアコースティック曲が光る文字通りの名盤だ

んで、なんでここでメイソンを紹介するのかと言えば実はこれ変形ジャケなのだ。
ジャケは岩山の頂に佇むメイソンなのだが、これを展開して行くと、
岩山の上に巨大なメイソンのとぼけた顔が現れると云う趣向に成っているのだ。
メイソンの山高帽子には釘穴が開けられていて壁に掛けられる様に成っている。
大体こんなとぼけたオッサンを誰が壁に飾るのか?と云う感じだが、
こう云う無駄な所がひどく英国的な感じで内容と対照的で面白い。
裏には日の出の模様がコマ写しに成っていてそれを観てほくそ笑むメイソンが居る。

プログレ系に比べるとこの辺は余り紙ジャケ化が進んでいないジャンルだが、
(まあ紙ジャケにして面白いか?と云う様なアイテムも多い訳だが)
こんな無駄に凝ったアルバムも有ったりするのでこの辺も是非挑戦して欲しい物だ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.05.08

曽我町子先生追悼

「人気アニメ「オバケのQ太郎」のQ太郎役の初代声優を務めた女優、
曽我町子さんが7日未明、東京都国立市内の自宅で亡くなっていたことが分かった。
68歳だった。病死という。

警視庁立川署によると、曽我さんが国立市内で経営する骨とう店から
「出勤してこない」と同日午後2時ごろ、110番通報があった。
署員らが室内に入ると既に亡くなっていた。1人暮らしだった。」
(ニュース・サイトより)

あの魔女ベルバラが天空大聖者マジエルに成ってスクリーンに帰って来た時には、
粋な計らいに最高に嬉しく成ったもんだったが、
結局マジレンの最終回が最後だったと思うと何とも言えない気分に成るなぁ・・・
最近も特撮本に載ったインタビューとか読むと御元気そうだったのに・・・
しかし「あの人は今?」状態では無く現役のままあのキャラを全うして、
最後に一花咲かせたかの如きマジエルの活躍は本当に良かったと思う。

ニュースの頭には「オバQ」の声優と云う様な紹介のされ方をしているが、
曽我先生と言えば断然特撮番組に於ける特異なキャラの数々が印象に残る。
「レインボーマン」のゴッドイグアナ、「5年3組魔法組」の魔女ベルバラ、
そして戦隊物最高のファニーな敵キャラ、ヘドリアン女王等など・・・
敵なのどこか憎めない、魔女なのに子供の様なキャラは御自身の投影だろう。
それが有るからこそのマジエルだし、それ故の反響の大きさだったと思う。

戦隊物を輸入してアメリカで放送された初期のパワーレンジャーは、
敵役の部分も日本版のフィルムをそのまま使っていたそうだから、
曽我町子先生の姿はアメリカ人・・・いや世界の子供達にもお馴染みな筈だ。
その曽我先生の訃報には多分世界中の子供たちが驚くに違いない。

いかりやの長さんが死んだ時と同様に身内に死なれた様な何とも言えぬ気分だ。
とにかく今は、子供の頃から楽しませて貰った思いでの人の冥福を祈りたい。

曽我町子先生御機嫌ようサヨナラ。

| | コメント (0) | トラックバック (2)

2006.05.02

演劇実験室・万有引力「草迷宮」

演劇実験室・万有引力の最新公演「草迷宮」を観に行った。

アングラ好きな皆様なら御存知の通り、「草迷宮」とは泉鏡花の作品であり、
寺山修司が舞台さながらのグロテスクな映像をフィルムに刻み込んだ作品である。
一過性の物である舞台は正しく公演と同時に消えて行く定めに有る訳だが、
フィルムに刻み込まれた映像はその姿を永遠に残し続ける。
「天井桟敷」と同時代に居合わせなかった者には、
永遠に知る事が無かったかもしれないその稀有で危険で蟲惑的な世界を、
フィルムは何時でも垣間見せ、魔界へと手招きする事も出来る。
かつての自分もそうだった様に・・・

それならば板の上で一夜の内に現れ消える芝居だったらどうなんだろうか?
その答を確かめに寺山直系の万有引力の芝居を楽しみに出掛けた、

舞台美術は前回に観た「アヴェロンの野生児」に比べるとシンプルな物だった。
奥行きが余り無く、やや平坦な感じだったがそこは動き回る役者でフォロー。
映画同様な障子越の会話の部分などは天井から障子を下げて代用している。
この障子が裏返ると絵金らしき血みどろ絵が描かれていて、
ラストの妖怪乱舞シーンのバックでおどろおどろしく効果を上げていた。

話の内容は殆ど映画同様に進んで行く。
映画同様モブシーンで現れる奇矯な連中が同様に配置され、
人魚の飾りの付いたポールを持った男なんかも忠実に現れて可笑しかった。
ただ話の展開を黒衣の女性が語り進めて行く構成に成っていたが、
この部分が少々違和感を覚えた部分に成った。
結局この黒衣の女性は何を象徴していたのだろうか?
超越者?見世物の口上語り?もう一つの母性の象徴?或いは異類?
そのどれを取ってもやや中途半端な印象を受けざるを得ない存在だった。
そして同様に残念だったのが映画版に有った濃厚なエロティシズムの減退だ。
自我を目覚めさせた少年を己が「性」で繋ぎ止めようとする母親の「業」。
土蔵に幽閉された美しくも淫蕩な狂女と云う、因習的性の共同幻想。
映画版ではそう云う湿気たエロティシズムが鏡花の草双紙趣味に良く合っていた。
所が芝居ではそう云う要素がいかにも曖昧にぼやかされていて、
見世物が余所行きに脱臭された様ななんとも消化不良な感触に成っている。
それは前回の芝居を観た時にも感じだ「もはやアングラでは無い」と云う、
目黒区の綺麗なホールで年配の客が観劇に来るのに相応しいと云う印象なのだ。
メジャーなのが悪い等とは思わないが、ならこの容でやる必要も無い様な気がする。
そう云う点では少々考えてしまう様な舞台ではありました・・・

今回も舞台袖に作られたドラムセットのスペースで劇に音を添えて行く、
表舞台に出ないシーザー氏の存在感に魅かれた訳だが、
その反対側に同じく劇とは関係なく管楽器を持って音を入れて行く女性が居たが、
あの人は一体誰なんだろう?しかも余り音が劇中聴こえてなかったんだが・・・・

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2006年4月 | トップページ | 2006年6月 »