便乗企画「思い出に残る紙ジャケたち」
音楽雑誌「ストレンジ・デイズ」が今月で通算100号を刻んだらしい。
ストレンジ・デイズと言えば雑誌として以外にも、各メーカーの紙ジャケの監修、
そして自らのレーベルを通しての紙ジャケによる再発等も手掛けていて、
謂わば昨今の紙ジャケの隆盛に貢献した雑誌、と云う事が出来る。
個人的に紙ジャケと云う事で意識して買ったのが、ストレンジ・デイズ監修で、
ユニバーサルから出たブリティッシュロック・レジェンド・シリーズが最初だった。
本などで何度か見掛けた事が有った「チューダー・ロッジ」の変形ジャケ、
アレが精巧にミニチュア化されてしかも2141円と云う値段に心動かされた。
その頃に発売されていた紙ジャケはそれなりに割高な商品だったし、
アナログで所有しているメジャーなバンドの作品が多かった物だから、
何も持っている物を高額な紙ジャケに買い換える必要を感じなかったのである。
だがその値段ならば未聴のバンドでも気軽に手が出せる価格だったし、
特殊紙等の細かい再現も見事で、一気に紙ジャケに対する興味が湧いた訳なのだ。
余談だが現在ユニバーサルから出ている件のシリーズは総じて2700円代である。
特殊ジャケだったりライセンス販売メーカーの物ならしょうがないとして、
原油高騰の折とは云え大手メーカーの商品でこの値上げ率は余りにキビシい。
しかも単なるシングルジャケでその値段と云う事に成ると、
まだプラケで安い方が購買意欲が湧くと云う物なのだが・・・
最近どこかで、ルーティーン化した紙ジャケのリリース状況に苦言を呈し、
かつてレア盤復刻の要だった「洋楽秘宝館」を再開せよ、と云う記事を読んだが、
ジャケとしての面白味が無い物を3千円近い金額で紙ジャケとして出すなら、
その半分位の価格でプラケで出した方が確かに購買意欲は湧く気がする。
ある程度のブツが出尽くした今、紙ジャケも曲がり角に来ているのかも知れない。
で、そのストレンジ・デイズ誌100号の巻頭記念特集と云うのが、
ロックがビックバンを迎えた67年から71年までにリリースされたアルバムから、
紙ジャケによって復刻された作品を100枚選出するというものだった。
単純に「紙ジャケ」と云うカテゴリーで集めてベストな物を選出すると、
ジャンルが多岐過ぎて収拾が付かない訳で、中々に上手いまとめ方である。
この分類の方法は編者である岩本晃市郎氏が以前出版していた、
「ミュージック・ストリーム」でも取り上げられていた方法で、
所謂ビートルズの「サージェント・ペパーズ~」を契機に原始的だったロックが、
技術や意識革新の元に百花繚乱して行く時代を取りまとめた物で、
今回は71年までだが次号の第二弾は多分黄金の70年代全般と成るのだろう。
で、今回はその企画に便乗し個人的な思い出に残る紙ジャケを取り上げ様と思う。
大した枚数も持って居ないし偏った趣味で噴飯な企画では有るが、
雑誌の特集でも、ここのブログでも取り扱わなかった作品を中心に集めてみた。
まあ例によっていつもの「繰言」として笑って済ませてちょ~だいね。
最初の1枚はファンカデリックの名盤「One Nation Under A Groove」。
多分これは自分が始めて買った紙ジャケではないかと思う1枚だ。
その前からかなりP-Funkに入れ込んでいてプラケでは当然かなり揃えていたのだが、
これには何とそれまで収録されていなかった超名曲なタイトル曲の、
12inchバージョンがボートラで入ってると云う事で購入を決めた商品だ。
この時代のファンカのアルバムと言えば味なイラストのジャケ画と、
細かい字でびっしりと書き込まれた笑えるもクールな手書き文字だったりするが、
この紙ジャケにはそれらが紙ジャケで縮小されても困らない様に、
LPサイズよりやや小さめの両面カラージャケットが折込み封入されているのだ。
こう云う配慮にバンドに対する愛を感じて実に微笑ましい。
お次はトッド・ラングレンの「魔法使いは真実のスター」。
これはアナログ時代も「変な絵だなぁ」とか思いながら見ていたのだが、
それがどうもオリジナル本来の特殊なシェイプを省略していた物だった様で、
紙ジャケで見て始めてこんな凝ったジャケだったのか?と認識した次第だ。
見開きジャケの上、ジャケの四隅が個々にカットされた実にマジカルな品で、
中身のインナースリーブも日本語解説も同様のカットが施され実に芸が細かい。
しかも添付品としてパティ・スミスの詩が書かれた「絆創膏」形のカード、
そして実物は多分ハガキ大の、トッド自身に宛てた絵葉書が附いている。
ポップでマジカルな万華鏡さながらの音を聴きつつジャケや付属品を眺める、
そう云う楽しみを提供してくれる素晴らしい1枚だ。
で、次がゴドレイ&クレームの「ギズモ・ファンタジア(Consequences)」。
10ccの4分の2として脱退後もユニットを組んで活躍する二人の初ソロ作。
ちなみに「ギズモ」と云うのは両人が制作したギターのアタッチメントの事で、
10ccの名曲「アイム・ノット・イン・ラブ」のバックで霧の様に拡がる、
淡いシンセの如き不思議なサウンドが一番有名なギズモの使用例だろうか?
で、そのギズモの可能性を極限まで発揮しようと創られたのがこの作品だ。
LP3枚分(CDで2枚)に渡って繰り広げられる音の曼陀羅は、
コンセプチュアルな故に難解では有るが、それでいてポップと云う不思議な感触で、
「ギズモ」「ミュージカル」「コンチェルト」と云う3つのパートに分けられ、
役者による台詞パートなども挟んだプログレッシヴな組曲と云う解釈も出来る。
元のアナログ盤は3枚のレコードが黄・赤・紫のインナースリーブに入れられ、
20ページのブックレットと供に、カートンケースに入れられて発売されたのだが、
紙ジャケ化にあたり(紙箱化か?)それらも完全にミニチュア化された。
CDは2枚組みなのだがちゃんとスリーヴが3種入っている所が細かい仕上がりだ!
4枚目は特殊ジャケも多いジェスロ・タルの編集盤「Living In The Past」。
タルと言えば先の特集でも取り上げられてた飛び出す絵本形式の「Stand Up」、
総て架空の記事により埋め尽くされた新聞をジャケに使った「Thick As A Brick」、
これまた架空の劇場の芝居のパンフレットを折り込んだ「A Passion Play」など、
特殊ジャケ特集の常連の様な素晴らしいギミックの作品を多く残しているが、
あえてベスト盤とライブ盤の機能を合せ持った当時としては珍しいこの作品を選ぶ。
SPボックス全集を模したらしい革装風のジャケに金箔押しの豪華さもたまらない、
このアンティークな手触りばかりはプラケでは到底味わえない妙味である。
表紙を開くとムサいオッサンたちの写真が12ページに渡って満載で、
それが豪華な装丁と相まって何処か英国的なブラックさを感じさせたりもする。
発売時期的に結構後期の物なので、初期の名盤辺りで力尽きた人たちは、
結構買い逃がしているのではないか?と云うアイテムである。
さて最後に控えしは少々イレギュラーなアイテムながら・・・・
外タレの「黒船」と言えば、アグネス・ラムでもリア・ディゾンでも無い、
「サンドラ・ジュリアンに決まってる!」と云う人も多いであろう、
かのサンドラ・ジュリアンが残した奇跡の作品「セクシー・ポエム」の紙ジャケだ!
サンドラは「生けるフランス人形」等と称されたフランス産のポルノ女優なのだが、
東映のお色気映画に客演した事で永遠に記憶に留められる事に成った。
わずか2本の作品なのだが、池玲子・杉本美樹と云う東映が誇る看板女優との共艶、
そして「生涯ヒーロー」な宮内洋大先生とも絡んでいると云うから奇跡の存在だ。
そんなサンドラが映画のプロモーションで来日していた折に、
歌入れ2日、オケ1日と云うお手軽なスケジュールで録られたのが本作。
しかしプロデュースは荒木一郎、構成は何と鈴木則文監督が手掛ける豪華さで、
見開きジャケの中にモノクロ5Pの写真集附きと云う嬉しさである。
中身はフランス語によるモノローグや「経験」などムード歌謡のカバーを収録。
この辺の曲は平坦ながらちゃんと日本語で唄っていて、中々器用なもんである。
圧巻は後半の鈴木則文監督による2本の映画からの「濡れ場」シーンで構成された、
「セックス・オン・ステージ」と「ライブ・セックス」の2トラック。
もう池玲子の濃厚なお声と相まって、何か大変な事に成ってますわ。
ちなみにこれはお馴染み「幻の名盤開放同盟」がコンパイルしたCDの紙ジャケ化で、
この前「幻の名盤お色気BOX」の一枚として再発されたが、直に売り切れたらしい。
こう云うジャケ買いしたくなるアイテムも紙ジャケの一つの条件であろう。
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