子年の台北「雨の平渓線」
前にも書いた様に台北に行っている間はずっと天気が悪かった。
朝方は太陽が出ていたりもするのだが、基本曇りで一日一度は雨が降る。
街歩きをしている分にはそれほど問題は無いのだが、
「せめて1日位は・・・」と出掛ける郊外の散策には少々辛い物が有る。
昨年は何年か振りで極端に観光地化した九(イ分)に出掛けたのだが、
じっとりと湿った冷たい雨と物凄い霧に見舞われた。
まあ基隆湾が見下ろせる茶店で霧に霞む風景を眺めているのも一興だったが、
何にしろ雨の中出歩くのは色々と面倒である。
何処か雨でも景色に成る所は・・・・と考えて平渓線に出掛ける事にした。
平渓線は東部幹線の瑞芳から山奥の菁桐まで続くローカル線である。
日治時代に石炭の採掘の為に開発された、単線箇所も多いのどかな路線だ
十年以上前に始めてここに出掛けた時は、侯孝賢の映画「恋々風塵」で観た通りの、
古めかしいローカル線が走る怖ろしくひなびた路線だったのだが、
ここも観光地化が推進され、観光列車の走る観光スポットに変った。
平日なのに車中では大学生と思しき男女の集団が楽しそうにトランプに高じていた。
う~む・・・集団デートで使う様なスポットなんだろうか?ここは。
台北の街中は晴れていたが、自強号で瑞芳に付いた時にはもう雨に濡れていた。
台北北部の山間部には大雨警報が出ていたのだが、流石見事に降っている。
平渓線の年間通じての観光スポットは映画に使われた十分駅と、
そこから歩いて行く十分瀑布なのだが、この時期だけは別の目的で賑わう。
それが旧正月の元宵節に行われる「天燈節」である。
「天燈」と云うのは所謂「熱気球」の様な物で、それに願い事を書き込み、
夜空に放つと云う中々幻想的な祭りで、例年物凄い人で田舎街が賑わう。
そう云う美味しい行事は元宵の時だけでは勿体無いと地域も考えたのか、
2月の11日から元宵の21日まで「平渓国際天燈節」等と云う、
細々したイベントを盛り込んだ大々的な祭りにして集客に勤しんでいる。
この時期、菁桐・平渓・十分の各老街は紅燈を灯してライトアップしていた。
写真でしか観た事が無かったので、そもそも「天燈」と云う物は、
各々家庭で自作して来て飛ばす物なのかと思っていたのだが、
老街の商店の軒先や露店やらでそれぞれ出来合いの物が売られていて感心した。
そこに備え付けのマジックとかで願い事を書き込んで飛ばす訳だが、
実は願い事に関連して飛ばす「天燈」のカラーリングも決まってくるらしい。
例えば「商売繁盛」なら黄色とか「恋愛成就」とかなら桃色とか。
勿論本格的な人は古式ゆかしい素材でビックな天燈を創って来るのだろうが、
電車で見た学生のグループなどが、皆で飛ばすには確かに御手軽で良い。
平渓の駅で天燈を飛ばしている連中が居たので観ていたが、
意外なほど早いスピードで空に揚がって行きそのまま気流に乗って流れて行った。
基本的には天燈は火力が尽きるか燃え落ちるまでは延々と空を漂い続ける。
しかしこれってよく考えると結構危ない話だよなぁ・・・・
電車から見える民家の屋根に燃え尽きた天燈の残骸が有ったりしたのだが、
火が付いたまま落下して火事に成ったりする事は無いんだろうか?
元宵の時は物凄い数の天燈が揚がる訳でゴミとかも大変だろうなぁ・・・・
・・・・等と夢の無い話はさて置き。
そぼ降る小雨と霧に霞む彼方の山に向かってゆらゆら飛んで行く天燈は、
郷愁をそそるが如く何処かうら寂しく人の願いを乗せて優しげだ。
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