鳥居みゆき「ハッピーマンデー」
先日、ファンだと云う知り合いに鳥居みゆきのネタDVDを借りた。
鳥居みゆきと云う芸人の存在を意識したのもこの知り合いの強い押しに有る。
その頃はTVで放送出来ない様な危険なネタを数多く有する、
Youtubeやニコ動で話題騒然の、所謂ネット動画芸人として名を馳せていた。
それが今やバラエティ番組の到る所でその奇矯な芸が普通に見れる様に成った。
或る意味「旬の芸人」と言えるポジションに今居る訳で、
このDVDなども巨大なCDショップなどでは大々的な商品展開を見せていた。
彼女のTVでのブレイクの要因の一つとして、同じ事務所の小島よしおもそうだが、
昨今の「旬芸人」に共通のキャッチャーな「つかみ」が大きいだろう。
例の「ヒット・アンド・ラ~ン」で、TVではそればっかやらされてる様な・・・
勿論、本質的な芸の質はそう云う「つかみ」に無い事はDVDを見ると良く解る。
「ハッピーマンデー」とタイトルされたこの作品は、
無愛想なジャケを見るだに異様な雰囲気が漂ってくる作品で、
中身の方も昨今のJホラー的と云うか、荒れた映像の目まぐるしいカットバックや、
荒涼とした情景の長廻しが多用されていて、映像の凝り方は非常に激しい。
個人的に芸人のネタDVDと云う物を殆ど見た事無いので比較は出来ないが、
その芸人の持つカラーのトータリティとしては相当徹底した物に成っていて、
一つの映像作品と見ても中々に楽しめる出来に成っているのではなかろうか。
まあただ単純にネタだけを楽しみたいと云う向には相当冗長な映像だとは思うが。
基本的な構成はどこぞの研究施設に隔離されているらしい鳥居みゆきが、
質問されたり徘徊したり痙攣したりうわ言を言ったりする流れになっていて、
その合間に人気の無い深夜の浅草は仲見世商店街のシャッターの新聞受けを覗くと、
その向うで鳥居みゆきがネタをやっているのが挟まれると云う様な構成だ。
まあしかしそこで演じられるネタが非常にテンションの高い舞台向けのネタで、
或る意味わかり易いベタな一人突っ込み一人ボケのコントも多く、
全体的なトーンとして肝心のネタ部分が相当浮いている様に見えるのは確かだ。
プロデューサーにボツにされたネタを「水子」として供養する「水子供養」とか、
(お馴染みの紙芝居ネタで全部にモザイクとピー音が入っているのは笑うが)
アコムのCMのオーデションで小野真弓に負けた話とかネタに楽屋落ちも多いし、
凝った全体的なトーンのせいで素直にネタを笑えない感じが有る。
まあこの人の芸の場合、ゲラゲラ笑うと云うよりニヤっと笑う様なネタだし、
ビデオと違ってチャプターで飛ばせるDVDならば問題は無いのかもしれない。
それにしてもネタやってる時のテンション高いなぁ・・・・
他に「鳥居みゆきに100の質問」のコーナーが結構「素」っぽくて楽しめた。
これに関しては多分台本無しで、反射的に質問に答えている様なのだが、
かなりの部分、キャラクターに相応しい回答を出していて頭の回転の早さを物語る。
個人的には「お笑いを始めたきっかけは?」の質問に、
「のいるこいるさんに憧れて」と云う回答は相当ツボだった。
それから「最近見た夢の話を教えてください」と云う質問が2回繰り返される奴に、
「ハンドルだと思って握ったらバームクーヘンだった」と答え、2回目の時は、
「ハンドルだと思って握ったらポン・デ・リングだった」と云う返しには唸る。
ここら辺のアイテムのチョイスと天どん具合は絶妙だ。
ちなみにメニュー画面の選択を動かして行くと、
それとシンクロして鳥居みゆきの眼球の部分が動いて行くギミックが面白い。
彼女の場合その存在を特徴付けるのは、黑のアイラインがバッチリ引かれた、
必要以上に見開かれた眼球な訳で、それを意識したギミックは上手いアイデアだ。
さて今の所順調にTVに出続けている鳥居みゆきだが、今後の展開はどうなるのか?
ブレイク以前の彼女は堕天使だったりジャージ女だったり眼鏡女だったり、
無暗にテンションが高いだけで、今ひとつ突き抜ける様な要素が無かったが、
サイコ系のキャラを前面に出す事でこの様なブレイクを迎えられた訳である。
余談だがお笑いの場合むしろルックスが良い方が芸人として足枷に成る事が多い。
美人がテンション高めにボケたりしてると妙に痛々しく見えたりする物だ。
かつてはアイドル並に水着のイメージビデオなんかも撮っていたりしたが、
そう云う経歴など無かったかの如き昨今の壊れっぷりは清々しい。
しかしキャラ故に番組内での扱い難さが表出して来たりと諸刃の刃なのは否めない。
「実は普通の良い人でした」的にキャラを扱い易い方向にシフトするのもアレだし、
やはりエキセントリックな女優と云う方面で売って行く感じだろうか?
ルックスは元より演技力に関しても間違い無く高レベルに居るわけだし。
最後に、彼女が本物なのか演技なのか?と云う話が良く出てくるが、
それは全くどうでもいい事だと思う。
本物でも特別人に迷惑かける事無く仕事が出来ていれば問題無いし、
演技でもそれが恰も真に迫っている様な演技に成っていれば問題無い訳で、
本当に見るべき所は芸人としてのポテンシャルでしかない。
まあそう云う点で見ればまだまだギミック頼りの中途半端さが目立ちはするけど。
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