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2008.08.30

辻惟雄の奇想な仕事集

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伊藤若冲と言えば今では展覧会に多くの人を集める誰もが知る日本画の大家だが、
かつては知る人ぞ知る亜流の画家の一人であった。
そんな若冲を、曾我蕭白や長沢蘆雪と供に名著「奇想の系譜」にて取り上げ、
今に続くムーブメントに到らせるきっかけを作ったのは辻惟雄である。
日本的な「侘び寂び」とは真逆の、謂わば無意識過剰と云うか悪趣味と云うか、
奇想が迸るままに任せたバロック的な悪夢の如き世界は、
恰も中華圏の道教寺院や中南米の過剰な宗教装飾、極彩色な印度の仏画、
果ては見世物の看板絵にも通じる様な不思議な世界垣間見せてくれる。

そんな辻惟雄が少し前に2冊の新書本を同時に発売した。
1冊は文春新書の「岩佐又兵衛 浮世絵をつくった男の謎」であり、
もう1冊は集英社新書の「奇想の江戸挿絵」の2冊である。
岩佐又兵衛と言えば先の「奇想の系譜」でも最初に取り上げられていた画家で、
最近は代表作である絵巻物「山中常盤」が映画化されたりしている。
岩佐又兵衛に関しては以前展覧会にて絵巻物を実見して驚いた話を書いてるので
今回は「奇想の江戸挿絵」の方を取り上げようと思う。

そもそもこの企画の発端は辻惟雄の「月刊百科」の連載をまとめた、
「奇想の図譜」の冒頭章から始まっている様である。
北斎が当時入手出来た西洋の博物学図譜や絵画手法から受けた影響を、
いかに挿絵や絵手本などに生かして来たかを検証した話だったが、
その北斎の描いた版本挿絵の素晴らしくダイナミックな内容を軸に、
知られざる江戸期の読本挿絵の世界を紹介しようと云う主旨の本である。
辻惟雄の本は基本的に学術書なので中々素人には敷居の高い部分も有るが、
本書は新書だけに記述も平坦で注釈も多く非常に読み易い一冊に成っている。
現在の漫画との対比と云う事で大友克洋や水木しげるの図も載っていて面白いが、
まずは驚異的なその挿絵をご覧あれ。

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「新累解脱物語」より

その手法の斬新さに驚かされるのが薄墨を使った技法である。
主人公が僧(地蔵菩薩の化身)に地獄の様相を垣間見さされる場面なのだが、
主人公と僧を普通の墨で摺り、地獄風景を薄墨で摺って合わせる事により、
著者も指摘している様に漫画で言う所のホワイト・トーンの様な効果が出ている。
これは凄い、絵師のアイデアも大した物だがそれに応える摺り師の技量も凄い。
他にもビアズレーの「サロメ」を髣髴とさせる首実検のシーンで、
姫の首代の換わりに自分の娘の首を差し出すと、狐の妖術で姫の首に見える場面、
娘の首が薄墨で重ねられた姫の首に見える様な効果が施されて実に見事である。

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「昔話稲妻表紙」より

上の画像は右のページをめくった先が左のページに成っている仕組だ。
血腥い殺戮の場面で点々と続く血痕の後を追いかけて行くと、
次のページで血塗れの生首を銜えた犬の姿が現れると云うショッキングなシーン。
辻惟雄はこれを黒澤明の「用心棒」の有名な冒頭シーンと重ねて語っているが、
現代の漫画にも通じるビジュアライズな斬新さには溜め息が出る。

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「椿説弓張月」より

現代の漫画に通じると言えば所謂ビジュアル・エフェクトの斬新さが有る。
本書の表紙にも使われている爆発と発光の処理の仕方は正に今に通じる技術だが、
それをこの時代に確立させた絵師の技量は底知れない。
日本の漫画のルーツを探る時に「鳥獣戯画」辺りから初めて、
浮世絵を経由する日本古来からの進化として語られる事が有ったが、
今では戦後の外国産アニメ映画からの影響・発展が定番として語られている。
だがこう云う凄い読本挿絵を見るとあながち前者の意見も無視出来ない気には成る。
しかしこう云うズバ抜けた才気を感じるのは、実は殆どが北斎の手に寄る物で、
一人の天才がシーンを牽引していたと云う意味では、
現代マンガに於ける手塚治虫と同様な感じがする所が何かと興味深い。

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さて辻惟雄の本でもう1冊、こちらは既刊の文庫化と云う体裁だが、
ちくま学芸文庫から「幽霊名画集 全生庵蔵・三遊亭円朝コレクション」が出た。
全生庵の幽霊画に関しては随分昔にここのブログにも書いているのだが
昔は夏に成ると良く涼みがてら出掛けて行った。
前に書いた時でさえ「随分出掛けてない」と書いているがその後も行ってないので、
最近はどのように展示されているがちょっと解らないのだが、
昔は全五十点が堂内の到る所に掛けて有って中々壮観な眺めに成っていた。
本書にはその全五十点が総てカラーで収められているのが嬉しいが、
中々そのコレクションにも複雑な来歴や経過が有るようで、
鏑木清方が描いた幽霊画など失われてしまった名品も幾つか有るようだ。
モノクロで残る画像で観る限り、清方と狩野素川の幽霊画が実に素晴らしく、
これは是非実物を見たかったと思わせる逸品だ。

本書の辻惟雄は監修と云う立場で冒頭に「幽霊画と妖怪画」と云う一文を寄せ、
コレクション全図を挟み斯界の専門家が幽霊画に関する文を寄せている。
こちらは新書と違って学術書なので各人非常に硬い話で終始するが、
幽霊と云う存在の元イメージである「足が無い」「白衣と三角布」「水辺」、
そして「樹木や灯火」などから幽霊と妖怪の区別を考察して行く、
諏訪春雄氏の「日本人の幽霊観と全生庵幽霊画」は興味深いし、
その世界ではお馴染みな高田衛氏の「幽霊<像>の変遷」も面白い。
実際に全生庵に出掛けて幽霊画を見た事有る様な人ならば、
円朝と幽霊画コレクションの中身を考察した安村敏信氏の、
「全生庵の幽霊絵コレクション」は非常に興味深く読めると思う。

現存する五十点の中ではインパクトの強い伊藤晴雨や中村芳中とか、
月岡芳年、歌川国蔵辺りの作品がストレートに怖くて良いが、
実物に相対すると、正しく幽かな雰囲気の渡辺省亭や鰭崎英朋もたまらなく良い。
掛け軸や巻物、浮世絵など画にはそれぞれ見方と云う物が有るが、
掛け軸はやはり畳に座って見上げる様な感じで観るのが正しい見方であろう。
その頃は訪れる人も少なかった全生庵の堂内の畳の間に座って、
開け放たれた窓から吹き込む風にゆらゆらとそよぐ掛け軸の幽霊と相対す。
すると控えめな描写故に立ち昇ってくる幽気が何とも居えず妖しい。
多分暗がりの中、揺れる行灯の明りで観たら更に怖ろしいだろう。
これぞ正に幽霊絵の醍醐味・・・・

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中村芳中「枕元の幽霊」

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2008.08.23

功夫映画ヲタクの夢の結実

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「期待していたか?」と問われると少々微妙な感じでは有った。
勿論、功夫映画ファン夢の共演に関しては期待するなと云う方が無理では有るが、
得てして両雄並び立たずと云う事は多いし、何にしろ年齢的な物も有る。
それよりも気に成ったのがハリウッド謹製の温いファンタジー・テイストの方だ。
「孫悟空」とか「如意棒」とか「白人青年が時空を飛ぶ」とか・・・
「なんちゃって中華テイスト」だったらどうしよう?みたいな不安が結構有った。
が・・・・しかし、こちらの予想は良い意味で裏切られる。

「こいつはボンクラ功夫映画ヲタクが夢見る、究極の夢の映画ぢゃないか!」

確かに全体的に温いファンタジー・テイストで統一された映画だ。
ファミリー向けならではのベタなストーリーや、展開の安易さやも気には成る。
しかしこの純粋なまでの功夫映画愛を否定する事は俺には出来ん相談だ。
ドラゴンに憧れ、ドラゴンを夢見、ドラゴンに成れなかった幾多のボンクラ達、
一人一人にそれぞれ、己が抱いた功夫映画の夢の形が有るだろう。
そんな連中の夢の最大公約数をファミリー映画に落とし込んだが如き作品である。

そんな功夫映画愛は冒頭のタイトルロールから惜しみなく表れる。
ボンクラな主人公ジェイソンの部屋に張られた無数のレアな功夫映画のポスター、
それらがタイトルロールと供にコラージュされて動き出す辺りでまず唸る。
李小龍は勿論、ショウ・ブラザースの名作群に於ける王羽や劉家輝・狄龍・傅聲。
功夫映画の歴史に目配せしたオープニングからしてリスペクトの度合いが解る訳だ。
中華街に有る、老人メイクをした成龍の店で安いDVDを薦められると、
持っているのについつい手が出るジェイソンのボンクラさにも肯く連中も多かろう。
ここに90年代の「白髪魔女伝」が加わっているのも嬉しい所だ。
しかし現実のジェイソンは母子家庭の典型的ないじめられっ子と云う設定も、
有名な「ベスト・キッド」を持ち出すでもなく、定番の設定である。
当然このジェイソン、時空を越えた先で出会う功夫の達人二人に仕込まれる訳だが、
きちんと修行して功夫を身に付ける修行シーンが有る所が実に良い。
昨今「隠れた素質が開花した」とか「何らかの力で一瞬で功夫が身に付いた」とか、
ゲームの如きお手軽な設定の映画が多いが(ハリウッド物は特に)、
功夫の奥儀は修行によって身に付ける物なのだ、修行を疎かにしてはいけない。
それでも短期間に功夫を身に付けたりはする訳だが、
ジェイソンのコミカルな修行シーンも功夫映画へのリスペクトに違いない。

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功夫映画へのリスペクトと言えば主役の両雄に負けない活躍をする女性二人、
ゴールデン・スパロウ役のリュウ・イーフェイと白髪魔女役のリー・ビンビンは、
どちらの役も功夫映画へのリスペクトがこれでもかと表れた役に成っている。
「白髪魔女」に関しては作品の冒頭にもDVDが登場する訳だが、
現在はハリウッドで活躍する于仁泰が、今は亡き張國榮を主役に撮った作品で、
悲恋に引き裂かれ白髪の羅刹と化す美貌のヒロインを林青霞が演じている。
香港映画ファンならその名を聞いただけで林青霞の気高い美貌を思い浮かべ、
ワダ・エミの衣装を着て供に並ぶ張國榮の姿を思い出して儚くなる作品である。
まあこの作品の白髪魔女にはその様な背景の描かれ無い悪の存在ではあるが、
成龍のラスト・バトルの相手に選ばれている位、強く怜悧で美しい悪役を、
リー・ビンビンがゾクゾクする様な徒っぽさと鞭捌きで魅了してくれる。
そして功夫映画ファンならその名を聞いただけで唸るゴールデン・スパロウ、
いや「金燕子」こそ、功夫映画最初の女武打星と記憶される鄭佩佩の事である。
巨匠・胡金銓監督の名作「大醉侠」で初めてスクリーンに登場した金燕子は、
飾り物ではない闘う女として鮮烈な印象を与え、鄭佩佩をスターダムに伸し上げ、
遂には「金燕子」と云うスピンアウト主演作品まで作らせた存在である。
ラスト・バトルに於いてゴールデン・スパロウがジェイド将軍に言い放つ、
「Come Drink With Me」こそ「大醉侠」の英語題だったりするから凄い。

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そして肝心の成龍と李連杰が拳を相まみえるシーンだが、
「凄い」とか「早い」とか言う以前に既に「眼福」とでも言える至福の瞬間だ。
年齢的な物も有って、当然両人とも全盛期のキレや俊敏さは無い。
しかしそれが如何ほどの物か?
曲芸的な物や力技的な物なら若い連中の映画で幾らでも観れる。
だが達人同士のまるで舞うかの様に息の合った素晴らしい組み手を何処で見れる?
しかも頂点に居続ける存在達の至芸をかの名匠・袁和平が演出しているのである。
これに難癖付けたら罰が当たるってなもんだろう。
そしてダブル主演と云う事で出番や設定にも随分気を使った後がうかがえる。
李連杰の孫悟空は少々微妙な感じがするが、彼の若き頃を思い出して楽しくなるし、
厳格で寡黙な武術の達人・黙僧役は、はまり役であった黄飛鴻師父を髣髴させる。
そして成龍の資質が良く出た、コミカルでほろ酔い加減な道士・ルー・ヤンは、
何と「酔拳」の使い手である!嬉しくなるほどベタな設定が泣ける。
この両人の、締める所は締めしかも殺伐としない功夫はこの作品にピッタりである。

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意外にがんばっているのが主役であるジェイソン役のマイケル・アンガラーノ。
全く使えない現代っ子のヲタク少年が、二人の優れた師の無茶苦茶な特訓により、
身体的にも精神的にも成長して行く所は、ベタだが胸踊る場面である。
そして終盤の戦闘に於いて「え?こんなに身体動くんだ?」と驚かせるほど、
見事な体捌きや棒術を披露してくれるから面白い。
ラストシーン、現代の住宅の屋上で黙々と修行に励むジェイソンの俯瞰図に、
師の言葉が重なる場面はドラゴンの伝承を思い、ボンクラ達の胸を打つ所だろう。

と云う訳で、全面的に「傑作だ!」と全肯定する様な作品では無いが、
いつまでも心に残る「良質の佳作」と云う所だろうか?
勿論、功夫映画ヲタクだけで無く、家族連れで楽しめる映画で間違いない。
願わくばこれを観た少年の心に新しいドラゴンの火が灯らん事を願う・・・・

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2008.08.16

「~at武道館をつくった男~ディレクター野中と洋楽ロック黄金時代」

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「ブドーカン(武道館)」と云う名を世界のロック・ファンに知ら示したのは、
言うまでも無くチープ・トリックの「チープ・トリックat武道館」である。
全米で大ヒットし、バンドその物の知名度も飛躍的に上げた作品は、
今から30年前に一人の日本人ディレクターによって企画された作品だ。

今年の4月24日に一夜限りの「~at武道館」再現ライブが行われ、
日本限定で、MCまでを収録したコンプリートなライブ盤に、
当時の関連映像を収録したDVD、そしてミニチュアサイズのパンフも収めた、
正に究極の「コンプリートat武道館」も発売されたのも記憶に新しい。
勿論、商売的には定番人気商品の記念に絡めた新展開と云う側面も有るが、
そもそも記念ライブの企画は「~at武道館」を作った一人の日本人の、
定年退職を祝って、と云う様な意味合いも有ったそうである。

その日本人とは、当時CBS・ソニーの担当ディレクターであり、
その後ソニー・ミュージック・ダイレクトの社長として今年定年退職した、
野中規雄と云う男である。
この本「~at武道館をつくった男」はその野中規雄の半生の聞き書きと、
日本ならではの「洋楽ロック」がもっとも輝いていた時代を描いた本である。
帯にチープ・トリックのリック・ニールセンやジャニス・イアンの祝辞が並ぶ、
かつての、そして今でも洋楽ロックを愛する人間なら必読の1冊に成っている。

本書は全体の3分の1くらいを使って、ディレクター以前の野中氏の前半生を描く。
特に学生運動華やかなりし頃の大学時代の描写が多い。
「洋楽裏話」的な物を期待する向には少々長過ぎる様に感じるかもしれないが、
これは著者の和久井光司が本書を「団塊の世代」と呼ばれるあの時代を、
野中氏の半生を元に検証する意図が有っての事の様だ。
したがって、この本は単なる「洋楽ディレクター打ち明け話」的な物では無く、
個人から照射された「団塊の世代論」的な読み方も出来る所が面白い。
大学時代はノンポリだったと云う野中氏だが、時代に対する反応と覚悟は、
パンク・ロック、別けてもクラッシュへの入れ込み方に表れている。
奇しくも野中氏の早稲田大学放送研究会時代の先輩である本間孝男氏は、
日本コロンビア時代にセックス・ピストルズのディレクターだったと云う。
「学生時代に彼らを駆り立てた「運動」が、個人の中では終わっていない事を、
洋楽のディレクターと云う立場で表明した」と云う和久井の指摘は興味深い。

勿論そう云う「裏テーマ」が有る物の、期待通りの香ばしい裏話も満載である。
タイトルに記された割にチープ・トリックの話は左程出て来ないのだが、
同じ様に現在も第一線で活躍するエアロスミスのセールスの方法や、
今で言うメディア・ミックス的な売り方で大ヒットを飛ばしたジャニス・イアン、
セイラーやボクサー、ニュー・ミュージック等通好みなバンドの話も有る。
(と云うかこの辺は著者である和久井光司の趣味で話が飛んだっぽいが)
ミック・ジャガーに会った時はそれほどでも無かったのに、
故フレディ・マーキュリーと会った時は、野中氏自身が舞い上がってしまい、
何を話したか覚えてなかった、と云う件は非常に微笑ましい物が有る。
意外な所では日本では殆ど無名だったフリオ・イグレシアスを、
日本で爆発的にヒットさせたのは野中氏だったとか、
「あ~居た居た」の代表的なバンド、日本のみでこれまた爆発的に売り切った、
G.I.オレンジなんかを仕掛けたのも野中氏だったと云う話にも驚かされる。
そして野中氏がディレクター人生で身も心も捧げたと云うクラッシュ。
2006年に店頭に並んですぐさま売り切れたクラッシュのシングルBOXだが、
これの元と成る「Singles ‘77-‘79」を日本独自に企画したのは野中氏で、
長くプレミアが付いていたこの作品を再発させたのも、また野中氏の熱情である。

その後、移動で邦楽を扱うセクションに移った野中氏だが、
そこでもホワイトベリーでヒットを飛ばし健在な所を見せる。
しかしそこで、かのスーパー・ジャンキー・モンキーも手掛けていたとは驚いた。
体育会系轟音ガールズ・バンドとして、当時異彩を放っていたバンドだったが、
バンドの光と影が野中氏の語りに滲み出ていて何とも言えない気分に成る。
睦が死んだのは確かS×O×Bのとっつあんが死んだすぐ後だったよなぁ・・・
本当に惜しいバンドだった。

それにしてもサブタイトルに記された通り、
あの時代は紛れも無く「洋楽ロック」の黄金時代であった。
過激にして革新的で、しかもいかがわしい興行の臭いも併せ持った「洋楽ロック」。
ディレクターのハッタリとアイデアで売り込みを掛ける博打性も最高に痺れる。
無茶苦茶な邦題、意味の無いプロモーション、勢いが総ての帯タタキ、
やはりジェフ・ベックの「Blow By Blow」は「ギター殺人者の凱旋」だし、
ピンクフロイドの「Atom Heart Mother」は「原子心母」に決まっているのだ。
(ちなみにベックの「ギター殺人者~」の担当は野中氏の先輩の高橋裕二氏で、
下の図の様なビルボードの広告を見てこのタイトルを思い付いたらしい。
ある意味直訳?と云う感じで有る。)

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そしてその強烈な邦題がジャケを毒々しく彩る、日本独自のレコードの「帯」。
今や世界中のアナログ・マニアの間では「Obi」は共通言語に成っている。
勿論、盤面のクオリティや独自の別ジャケなどの希少性は有る物の、
日本盤に於いて帯の有る無しでは価格も甚だしく異なるそうだ。
昨今の紙ジャケ復刻でも「当時の帯再現」と云うのが一つの売りに成っている。

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日本独自の文化「Obi」の素晴らしい数々

昨今、音楽を取り巻く状況は急激な速さで激変している。
ネット配信が普及し、CDの売り上げが落ち、レコード業界も整理されて来ている。
そしてそんな現在では野中氏の様な個性有りまくりディレクターは不要だろう。
ジャケットや帯、解説書や対訳を嘗め回すように観て音楽を聴いていた世代と、
ネット配信で手軽に音楽を聴いている世代には埋め様の無い隙間が有る気がする。
どちらが良いとか悪いとか、簡単に優劣は付けられないが、
聴く側も売る側も昔の方が遥に熱量が強くそして思い入れも深かったと思う。
野中規雄と云う人はそう云う幸福な時代を生きた男だったのだ。
そしてその末端の所でいかがわしき「洋楽ロック」を体験出来て幸せだった。

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昔はコンサートのチケも取って置きたくなる様なモノだった。

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2008.08.09

納涼企画

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酷暑お見舞い申し上げます。


皆様連日の「今年一番の暑さ」が続く毎日、如何お過ごしでしょうか?
私事では有りますが、猛暑続きで身体の免疫機能が一気に低下し、
ふざけた雑菌の進入を許してしまい、有る部分で非常に参っております。
なもんで色々とやる気も減退しており今週はこんな物でお茶を濁そうかと・・・・


一つ無邪気なぬこどもの姿でも見て一服の涼でも取っていただきたい。
真夏にぬこなど暑苦しいと云う方は・・・・まあ勘弁して頂きたく。


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どう云う意図が有るのか、ゆるく拘束されているぬこ。
こんな道端に拘束している意味が解らんし、拘束の仕方にやる気が無い。
・・・・・と云うか了解の上での一つのプレイ?

毎年の様に、悪い男に引っ掛かっては必ず身重で帰って来て、
知らない内に家の敷地で産卵・・・いやお産をして、ててなし子を量産する母。
・・・と云う書き方をすると身も蓋も無いが、本当に毎年の様に産んでた野良ぬこ。

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最近は姿を見掛けないが、また何処かで悪い男に引っかかって無ければ良いが。

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可愛かった子ぬこ達も今やふてぶてしく庭の植木を倒したりしやがる。

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香港にて。北京オリンピックの開幕式を夢見るぬこ。

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「せめて馬術競技くらいは観に行きたいもんですニャ~」


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2008.08.02

どうにも止まらない電王の世界

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「え!また電王の話なの?」
「そ~なんすよぉこれが。」
「電王ってまだ何か語るような事があんの?」
「あるんすよ、これが。つうかまたこれからも増えそうな予感が・・・」

番組終了から既に半年近いと云うのにまたまた電王の話である。
どんな人気ドラマでもそろそろ話題が尽きようと云うこの時期に、
いくら需要が有るとは云え、凄まじいまでのクライマックス状態の持続振りだ。
特にこの7月は電王者なら見逃せないアイテムが豊作で、
経済的に非常にキビシい局面を迎えている皆様も多かろうと思う。
特にDVDの高額商品が2本も出たのが嬉しいやらキビシいやらで・・・

さてその一本はTV版DVD集の最終巻で、待望の最終回3部作の新編集版が付いた、
「仮面ライダー電王 DVD12巻 特別版 2枚組」である。
未放映マテリアルを含む再編集版が出る事自体、普通でも滅多に無い事だし、
放映当時に録画していてDVDを買っていない皆さんでもこれは買いの商品だろう。
で、その「特別版」なのだが、特別大きな編集が施されている訳では無く、
殆ど放送通りの時系列に沿って話が進行して行くが、
所々シークエンスのカットも有ったり(「お年玉頂戴!」の部分とか)、
未放送シーンの追加だけでは無い、細かい編集の後がうかがえる。
やはり未放送シーンは殆ど最終回に集中していて、
駆け足過ぎた感が強かった最終回が、余韻の残るいい終り方に成っていた。
個人的には放映したラストシーンより、良太郎がミルクディッパーに戻って来て、
愛理に「ただいま」と言うラストの方が、静かな余韻が残る感じで好きである。
その際にはっきりと壁に掛けられたリュウタの画が映るのも良い感じだ。
他の部分では、車中で怯えるリュウタとそれを慰めるナオミのシーンが泣ける。
リュウタのスーツアクターのおぐらさんが本のインタビューにて、
ナオミ役の秋山莉奈の演技のお陰で気持ちが入ったと云うだけあって、
リュウタの人間臭さと脳天気なだけでない、ナオミの優しさが溢れる良いシーンだ。
ラスト三部作の全体的な感想は以前書いたので繰り返さないが、
やはり何度見て燃えるし泣けるし笑える、電王らしい最高のラストである。

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お次のDVDは劇場版第二弾「仮面ライダー電王&キバ クライマックス刑事」だ。
こちらも公開当時に感想を書いてるので本編の方はスルーして、
コレクターズパックに付いて来る「電キバ祭り」の方の感想でも。
電王関係のイベントの映像化はこれで3回目な訳だが、
主役の不在(佐藤健と関俊彦)も有って一番ゆるい感じのイベントだった。
「クウガ」や「響鬼」でお馴染みなきだつよしが脚本を書いたヒーローショー、
「きだ版ライダー絵巻 激突!電キバVS信長」は中々面白く見れたが、
番組の制作サイドが全力で創り上げたファイナルステージ等と比べて、
正直繰り返して何度も観るか?と言われるとキビシい物は有る。
トークショーは個人的にスーアクさんのコーナーが楽しめたかな・・・
とまあそんな特典ディスクに比べると本編の特典の方が面白かった。
時間は短いが、侑斗の胴上げやコハナちゃんの涙が見れるメイキングが面白く、
出来れば愛理やナオミ他キャストの涙涙のオールアップ場面も見たかった所だ。
涙と言えば公開初日イベントに於ける佐藤健の涙の会見も良かったなぁ・・・
あの時にようやく彼の中で番組終了の実感が迫って来たんだろう。

そして最後はこちらも待ちに待ったハイ・ターゲット玩具の極めつけ、
「S.I.C. 仮面ライダー電王 ソード・フォーム&モモタロス・イマジン」。
響鬼の時より時期は若干遅くなったが番組終了間近の発売に、
バンダイの気合も垣間見える力の入った商品だ。
実際S.I.C.電王の発売に合わせて、商品の購入者特典と云う事で、
ダイキャスト製のモモタロスォードとミニカタログがプレゼントされている。
発売前には店頭にモモちゃんがデザインされたポスターなんかが貼られていて、
いつもはひっそりと発売されて瞬殺状態の主役キャラのS.I.C.なのだが、
今回は店頭でも大々的に商品展示されていて力の入れ具合の違いを感じる。
商品のロット数も結構増やした様で、割と容易に手に入れられたのでは無いか?
とりあえず安定供給されると云うのはめでたい事である。

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さて肝心の中身であるが、これはもうモモちゃんの出来が素晴らしい。
モモちゃんの可動フィギュアと言えば装着変身とかMRSのシクレとか出ているが、
可動範囲の広さで言えば今回の奴が一番出来が良い。
関節の基本は出来の良かった装着変身に近いが、下半身の作り込みが凄まじい。
何と言ってもモモちゃんならではのウンコ座りに近い姿勢が取れるのだ。
流石に完全に、と云う訳にはいかないがかなりコンパクトにしゃがんだ姿に成る。
脚の付け根と膝、そして爪先の可動がかなり大きく取れ相当色々と動く、
更に過去の商品の様に簡単に関節が外れない所は実に素晴らしい。
簡単に外れないと言えばアーマー部分の付き具合も従来に比べて外れ難いので、
結構色々といじくり廻す楽しさが味わえるのが良い。
二つ有る顔の表情の予備パーツも楽しいが、両方とも違いは瞼の部分なので、
例えば一つはゴールド・ジェントルマン・コーヒーを飲んだ時の、
きりっとした眉毛と眼元の星が付いた顔なんかが付属してても良かったかと思う。
後、次作のリュウタの付属品を見るともう少し付属品が欲しかった所だろう、
例えばねじり鉢巻とか、青鬼のお面とか、ストローの付いた牛乳とか・・・・

もう一体ソード・フォームの方もS.I.C.ならではの出来が素晴らしい。
基本S.I.C.の平成ライダーシリーズは大きなデザインのアレンジが無いが、
ソード・フォームも電仮面やアーマーの模様に手が加えられている位である。
桃と云うよりキツネ眼な電仮面は好みが分かれる所だが精悍な表情に成っている。
付属品ではデンガッシャーがちゃんと分割・合体する所が実に見事だ。
勿論刃先は差し替えに成っているが塗装同様に細かな作りには感心する。
刃先が外れるだけに「俺の必殺技」再現も出来る楽しさが有る。

さて購入者特典のミニカタログにはS.I.C.商品の今後のラインナップが出ているが、
次回はリュウタ&ガン・フォーム、次がリミテットでロッドとアックス、
そしてその次がゼロノスと記されているが・・・ウラとキンはどうしたんだ?
電王各フォームは素体の流用で作れるから、イマジンは新造型で大変なのは解るが、
モモとリュウタを出しといて後の二人が出ないと云うのは余りにも・・・だろう。
クライマックスとライナーにそれぞれ付属と云う様な事も出来る訳だが・・・
そこまでシリーズ展開してくれるのかどうか不安な所では有る。
フィギュアーツでウラも出るらしいが、そこでキンやリュウタが出たとしても、
装着変身のモモちゃんとはサイズが違うしなぁ・・・可動物で揃わんかなぁ・・・

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「カメやクマ公が出ねえとか考えられねえよなぁ・・・だろ?ハナクソ女。」


さてその様に今後も電王の商品が続々と発売される訳なのだが、
実は確定的なソースでは無いが、劇場版の3作目のネタがネットで流れている。
一度秋以降の公開作リストに10月4日公開と公開期日までアップされ、
玩具関係のサイトには映画に付随する新商品の情報もアップされたのだが、
現在はいずれも削除されていて、色々と情報が錯綜している状態だ。
撮影現場に遭遇したとか、エキストラとして出た、等と云う情報も有るが、
大本営発表が有るまでは何とも言えない状態である。
しかしキバの放映時間帯と劇場版にて再びイマジンたちの登板もあり、
劇場公開に合わせて第三弾の発表なんてな事も有るかもしれない。
しかしクライマックスが止まらんなぁ・・・どんだけ勢いが有るんだか。
ちなみに第三弾のタイトルは「さらば仮面ライダー電王」らしい。
これで本当に「さらば」なのか?それとも・・・結果は秋に・・・・

『追記』 
等と言ってる内に劇場版第三弾の公式HPがオープンしてた。

http://www.saraba-den-o.jp/

残り時間があと十~何日に成っているのは多分公式なプレス発表及び、
ちゃんとしたHPの公開が8月22日だと云う事を指しての事だと思われる。
うぅぅむ・・・・と云う事は既に撮影終了していると云う噂はマジなのか?
遂に来たかぁ・・・・最後の祭りが・・・・

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