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2009.06.06

フェアポート・コンヴェンションの味の有る再発

Fairport01


ロッド・スチュアートの紙ジャケ紹介の所でも書いたが、
「昨今の紙ジャケを巡る状況は、未発掘品を紙ジャケで再発するよりも、
定番商品をSHM-CDとかで再・再発する方向に成っている。」と云う感じであり、
それに別ジャケを付けるとかで前回との差別化を図っている感じである。
そして個人的に肝要な部分は何と言っても、この別ジャケの存在に有るのだ。
英国盤、米国盤、そしてそれ以外の国の盤の他、初回、再発などで、
別ジャケが存在するバンドも有るが、飽くまで少数のバンドに限られている。
まあ最近はマーヴィン・ゲイの紙ジャケ再発物に、
マスターテープの箱を模した紙ジャケが付属していたが、あれは特殊な例だろう。
そうそう美味しい別ジャケが付いてくるバンドは無いだろうと思っていたら、
かのフェアポート・コンヴェンションの再発が別ジャケの宝庫だった・・・

フェアポートと云うバンドは英国ロックを語る時に絶対に外せない存在なのだが、
意外に聴かれていない、と云うか素通りされる事の多いバンドだったりする。
自分がフェアポートの事を知ったのは、多分殆どの人間と同じ様に、
Zepの名作「4」の「限りなき戦い」に参加したサンディー・デニーに因ってだ。
それで結構若い頃にフェアポートの作品に何枚か手を出すのだが、
どうにもその良さが理解出来ずに、その時はそのままで終ってしまった。
その後ふとした拍子に思い出したのがコアーズの「遥かなる想い」を聴いた時だ。
この作品は、今や世界的な存在と成ったコアーズのデビュー作な訳だが、
ここに入っている「Toss the Feathers」と云う曲に妙に惹かれる物が有った。
このメロディ何処かで聴いた事が・・・・と記憶を辿っている内に、
ようやく辿り着いたのが、以前聴いたフェアポートのアルバムのだった。
元々コアーズを聴くきっかけはアイリッシュ・トラッド・バンドからの流れで、
クラナドやチーフタンズ、アルタンやエンヤなどを聴いて来た延長線に有る。
その辺の音楽を通過して来たお陰で、その始祖であるフェアポートの音も、
そしてその業績も、すんなりと腑に落ちる様に成っていたと云う事だろう。
再び耳にしたフェアポートの音は非常に気高く、そして革新的に響いてきた。

ただ集中的に聴き込んだのは2002年の結成35周年を記念して、
アイランドからボートラ入りのリマスター盤が続々と再発された時だった。
この時に結構揃えてしまったので、翌年に紙ジャケ化した時は殆ど買わず終い、
なので今回の再発は余り悩む事無く買えた(まあどうでも良い事ですね・・・)
今回買ったのは2枚だけなのだが、ライブ盤の「ハウスフル」と1stは、
この機に買い直そうかなぁ・・・・などと考えている(まあどうでも良いか・・・)

Fairport04
英国初回盤と英国再発盤

まず最初はフェアポートの代表作なら間違い無くコレな4作目「リッジ&リーフ」。
少し前に「リッジ&リーフ」に大量のアウトテイクやBBCセッションを加えた、
お馴染み「デラックス・エディション」が発売され手が伸びそうに成ったのだが、
・・・いや、これは絶対に紙ジャケの日本盤が出るに違い無いと踏んでいて、
正しくその読みが当った、嬉しい2枚組みのデラックス・エディション版である。
これには色がグレーで見開き仕様に成った英国初回盤の紙ジャケの他に、
明るいレモン色のコーティング・シングル・ジャケ仕様の英国再発盤が付いて来る。
付属のブックレットは35周年に出たリマスター盤に付随した物とは別編集で、
前回はバンドの仕掛け人であるジョー・ボイドがライナーを書いていたが、
今回はデヴィット・サフのライナーで、ジャケの内側に写真と供に載っている、
英国トラッドを理解する為のトピックも読み易い様に大きく取り上げられていて、
更にバンドのリハ風景の写真も殆ど別物が使われていて実にお得である。

Fairport02
英国初回盤

で、次は時代が前後するがその前作にあたる「アンハーフブリッキング」。
異常に枯れた味わいの実に英国的なジャケが印象的なこの作品だが、
今作には何と他に2枚もの別ジャケが付いて来ると云う大盤振る舞い。
一つは英国初回盤の裏ジャケの食事風景を表に持って来た豪初回盤、
こちらも芸が細かくて、コーティング・ジャケに文字がエンボス加工されていて、
更にはアルバムの糊代部分が外着けに成っているフリップバック仕様だ。
そしてもう一枚がA&Mから出た米初回盤で、シングルジャケ仕様なのだが、
何の関連性が有るのかサーカスの象の曲芸シーンが使われている。
確かに英国盤の意味も良く解らないが、サーカス使う意味も相当解らない。
こちらのブックレットは35周年の時と同様の物で、
アシュレー・ハッチングスのライナーで日本語解説も以前と同じ物が使われている。
どちらにもロッドの時と同様シリアルナンバー入りレーベルカードが付属する。

Fairport03
米国初回盤&豪州初回盤

現在トラッドのロック的な解釈と云う事ではかなりの融合が進んでいて、
世界的に成功したエンヤの様にアンビエントなサウンドとの融合や、
スラッシーなリフや激速ビートと融合したトラッド・メタルなども有り、
洗練された音処理は違和感無く様々な音楽に溶け込んでいると言える。
それに比べればフェアポートの音は当然の様にまだ泥臭く、
曖昧模糊とした音像に想像していた物とは違う違和感を感じるかもしれない。
しかし故にフェアポートの音には源初のトラッドの泥臭い滾りが残っている。
「船乗りの生涯」「マティ・グローヴズ」などの伝承歌を謡うサンディ・デニーの、
ロック的な滾りとは別の次元の「物語る」熱い歌唱を聴いてみて欲しい。
そしてリチャード・トンプソンの歳不相応な枯れたトーンのギターの味わいや、
対してロック的な躍動感に溢れた「Toss the ~」を含むダンス・メドレーでの、
デイヴ・スウォーブリックのフィドルとの熱く競り合うスリリングさ。
正しくこの一瞬に凝縮された革新への迸りがこの2枚から熱く伝わって来る筈だ。

バンドはこの後、別の所でトラッドシーンを牽引するアシュレー・ハッチングスと、
看板であるサンディー・デニーの脱退を迎える事に成り、
新しいVoを加える事無く、数人がVoを兼任するシステムを取りながら、
ロック的なダイナミズムを増したスリリングなインタープレーが非常に熱い、
これまた傑作「フルハウス」をリリースするが、今度はトンプソンが脱退し、
フェアポートの神懸かり的な神話時代の終焉を迎える訳である。
何はともあれ、以上挙げた3枚は必聴の作品なので、是非この機会にでも・・・・

Fairport05
ちなみにこちらは前回の紙ジャケ商品

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