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2012.11.24

入院中の暇つぶし

Hospis02

とりあえず退院はした。
そんなに長期の入院と云う訳ではなかったが、
それでも通常の生活に戻るのが身体的にも色々と大変である。
物を喰わせて貰えず、不味い栄養補給剤と点滴の生活が5日程続いての後、
水の様な三分粥と供にようやく出された病院食の献立に、
普段は好きでもないので殆ど喰わない里芋の煮付が乗っていた訳だが、
これが何と言うか、しみじみと美味かったと云うのが何とも言えぬ気分だ。
まあそんな非日常体験で色々と感じる所は有った訳だが、
何にせよ諸々のモチベーションが一向に上がらずで困った物である。

さて入院中と言うのは基本的に安静に過ごす事を旨とする訳だが、
正直、個室等に閉じこもっていられるのならいざ知らず、
六人部屋等に寝起きしていると安静に過ごす事など困難な話だ。
周囲の生活音が色々と煩わしいと云うのも有るが、
そんなに頻繁に訪れる必要が有るのか?と云う位看護人がやって来る。
本を読むなり音楽を聴くなり惰眠をむさぼるなり安静に過ごしていても、
頻繁に中断されると云うのは実に安静な気分にはならない訳で、
それが点滴されている時等は更に頻繁になる訳で非常に煩わしい。
せっかく入院しているんだし溜まっていた本でも読むか!と意気込んだが、
物の見事に読書の方が進まなかったのは言うまでも無い。

入院の際に持って行った本は病床で持ち重りのしない文庫にして、
しかもすぐに読み終わらぬ様な少し厚めの本を数冊用意した訳だが、
クラーク・アシュトン・スミスの「ヒュペルボレオス極北神怪譚」等は、
余りにも病床で読む気分にならずに数ページで挫折した。
(病床で読むにはアレだっただけで勿論内容が悪い訳では有りません)
結局一番面白く読んだのが坂口安吾の「続・明治開化・安吾捕物帖」だった。
「明治開化・安吾捕物帖」は最初の八篇のみが昔から文庫化されていたが、
今年に成って漸く残りの十二篇も文庫化されて総てが読める様に成った。
それと言うのも、この作品を元ネタとした深夜に放送されたアニメ番組、
「UN-GO」のお陰だったりする訳で、番組の方も観てた甲斐が有ったと云う物だ。
この本の何が病床で読むのに適していたのかと言えば、
勿論探偵小説好きと云う事も有るが、大衆小説故の落語の如く軽味に有る。
提示される謎の不可能趣味も面白いが、それをお馴染みの面々がガヤガヤ推理し、
妙に深刻にもったいぶらずにスルっと謎が解決して行く明快さが小気味良いのだ。
昨今の捕物帖と云うと妙に人情の機微に特化した如き作品が多いが、
残酷さで有ってもカラリと描く落語の様な語り口が非常に愉しめる作品である。
基本、このシリーズのパターンは隠遁している勝海舟の解いた推理を、
紳士探偵・結城新十郎が覆し、真相を明かして行くと云う流れなのだが、
巻も後半に成ると勝海舟の推理の比重がやや弱まって行って、
新十郎、虎之介、花廼屋のトリオでガヤガヤと進行して行く感じも面白い。
個人的に面白かったのが「冷笑鬼」「愚妖」「幻の塔」「狼大明神」
そして内容に対してのタイトルが酷過ぎて笑う「家族は六人・目一つ半」。
「言葉狩り」に血道を上げる連中が血相を変える差別用語連発の内容も最高だ。

Hospis03

以前、某誌で連載していた喜国雅彦氏の漫画で、
「入院している時は大好きなメタルを全く聴く気に成らなかった」
と云う回が有って、当時は「そ~いうものか」と思った程度だったが、
今なら良く解る、確かに普段聴いているそう云う音楽を聴く気には成らなかった。
過激だったり暗黒だったりする物以外でも長尺なプログレ物も駄目で、
何と言うかやはりああ云う物は健全な状態の時に聴く音楽だと実感した。
で、結局どう云う音楽がしっくり来たのかと言えば、
トラッド/フォーク系、例えばヘロンとかマグナ・カルタの「四季」とかで、
余り電化していない爪弾く様な小アンサンブルな感じの音がハマった。
後はやはりストレートなジャズとかを一番聴いていたのだが、
こちらもアドリブがバリバリと飛び交うような白熱した奴は駄目で、
(特に管楽器系がハイトーンでキーキー云う奴はキビしかった)
結局穏健な所でちょっとラウンジっぽいピアノトリオ物だとか、
ヴァイブラフォンの音が耳に優しいMJQ辺りを良く聴いていた。
意外な発見は、たまたまアンドレ・プレピンのアルバムとして入れていた、
女性シンガー・ダイナ・ショアとの共演作の「Dinah Sings Previn Plays」。
普段ジャズ・シンガー物は一部を除いて殆ど聴かなかったりするのだが、
何故か知らぬがダイナ・ショアの豊かな歌唱が妙に身に沁みてしまった。
名盤の誉れ高い作品なだけに当然と言えば当然なんだろうが、
少しジャズ・シンガー物も漁ってみようか、と云う気に成って来た。
とは云え早いとこCD屋に行ってアルディアスの新譜を買わねばな、
等と考えている訳で、早く完全復帰したい今日この頃である。

Dainashore


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2012.11.12

入院中

Hospis01


まあ大方にはどうでも良い話だが、入院した。
色々とキビシい。

六人部屋と云う大部屋に入院して居る訳だが、
入院してみて己の「オヤジ力」的な物の弱さに気付かされる。
同室のオッサンたちが交わす会話に付いて行けないと云うか、
(まあこちらも心身供に疲弊しているので会話に加わる気力も無い訳だが)
プロ野球の結果だとか、何処其処の呑み屋の話だとか、長屋政談的な物とか、
何か「オヤジ社会」に於ける共通会話にのれない物が有る。
こう云う時に己の社会性の低さが露呈すると云う所だろうか。

しかしまあ入院初日などは実際やっていけるんだろうか?とか思ったが、
入院生活と云うのもルーティーンな訳で結構すぐ慣れたりするから面白い。
人間の適合力と云うのも侮れん物だなぁ・・・・
いやぁ・・・しかし色々とキビシい。

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