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2014.11.29

復活の周星馳!素晴らし過ぎる「西遊記~はじまりのはじまり」

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いやああああ凄い!
潔いまでに馬鹿で爽快な娯楽感!そして圧倒的な満足感!
劇場を出た後にニヤニヤが止らず自然と足取りが軽く成る様な感じ、
そう云えばコレ何か随分と久し振りに感じる感覚ぢゃないか。

袁詠儀が来日した時に観たファンタスティック映画祭での「國産凌凌漆」。
春節時期に香港の戯院の午夜場で現地の連中と爆笑した「大内密探零零發」。
夏休み明けで人が少ない午前中の台湾の戯院で号泣しそうになった「少林足球」。
洋画の超大作並みな待遇で封切られて正月の三が日中に観に行った「功夫」。
そう、この感覚は彼の作品に顕著な感覚なのだった。
一番香港映画にハマっていた時期を供に歩んだ周星馳、六年振りの帰還である。

昔ほどアクティブに情報を取りに行ったりする事は無くなったが、
華人映画界のVIPとしてその動向は色々な所で耳にした。
色々な企画が現れては消え、どうにも明るい話題が聴こえてこず、
そんな事を繰り返して行く内に大物に成った星爺への感心は少し薄れていた。
次作は「西遊記」で有ると云うのを聞き、ヒットしていると云う話も聞いたが、
正直「また西遊記なの?」と云う感じで醒めていたと言わざるをえない。
ご存知の通り周星馳は劉鎮偉の監督で95年に西遊記を二作品作っている。
平均的な周星馳作品愛好家なら色々と愉しめる作品なのだが内容は微妙だ。
しかしてこれが何故か大陸の学生達の間でカルト的な人気が有ったりして、
本作の大陸でのヒットもそんな要素絡みなのかと邪推したりもした訳だ。
と云う訳で正直それほどの期待感も無く余計な評価も入れずに劇場に出掛けた。

その結果が冒頭の如き始末である。
もう一度言おう、俺の一番好きだった周星馳の帰還である!

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映画のスケールが凄い!それは勿論だが個人的にたまらない物、
それは周星馳の象徴である「無厘頭」が無理なく作品とマッチしているからだ。
(無厘頭とは広東語で云うナンセンス・無意味なギャグとでも云う意味)
とにかく本当によく見つけて来ると感心する素晴らしくイイ顔の連中が目白押し、
そんな連中がまた実にしょうもない脱臼ギャグをかましてくるからたまらない。
そもそも孫悟空からして監督の塚本晋也を薄らハゲにした様なルックスで、
「功夫」に於けるラスボスで出て来た梁小龍並みのビジュアル・ショックだ。
猪八戒は常に肌がぬめぬめしたカマっぽさだし、沙梧浄はふかわりょう似だ。
段の手下達の個性的と云うより異常極まりないルックスと低脳っぷり、
輿を担ぐババア四人含めて異常にキャラの立った空虚王子、
周星馳の作品なら大概出て来る話に関係ない異常に肥満した女、
そして泣くかと思ったイイ顔の極め付け「醤爆」ことジャンバオ君の再々登場。
しかもあの顔でイケメンと云うコテコテのキャラ付けがたまりませぬ。

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星爺本人が出演していないからか、人非人と云うより鬼畜なキャラは居ないが、
それでも日本のTV番組で放映したならBPOに電話が行きそうなゲスさが最高だ。
人間にではないが執拗な顔面殴打の挙句CGで顔が陥没する漫画的グロ描写とか、
盛大に噴出する血糊の止め方が解らず血塗れで呑気な会話を交わしたりとか、
昭和の漫画テイスト満載のチャイルディッシュな描写が素晴らしい。
そもそも三蔵の弟子になる三妖怪達からして、ビシビシ人を殺す、妖怪だから。
その辺は容赦無い、マジ悪人、いや妖怪。
星爺の作品、と云うかかつての香港映画のそう云う容赦無さは、
昔から華人以外には嫌悪感が有ったりで好悪の判断が別れる所なのだが、
そう云う突き抜けた描写が有ってこそのリベンジだったり改心だったりする訳で、
大作を撮る様になってもその辺のぶれなさ加減は実に嬉しい所だ。
他にも孫悟空と段がダンスを踊るシーンが有るのだが、
明らかにワルのりして笑っているNGカットを採用していたりして、
その辺も大作なのに星爺映画の伝統な楽屋落ちコント感が有って愉しい。

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さて話の方だが、解説するまでも無く皆さんお馴染みな「西遊記」な訳ですよ。
ただ今回は冒険に出立するまでの前日譚と云うか役者が揃う前の話である。
悟りを開く以前の、己が行為の意味さえも見失いかけている、
モラトリアム全開な亡羊として使えない玄奘、後の三蔵法師が、
妖怪退治の途上で出会った凄腕の女妖怪ハンター・段に一目惚れされ、
その挙句に供と成る三妖怪を折伏して収経の旅の途上に付くまでの話だ。
主人公・玄奘役の文章は「海洋天堂」で李連杰の自閉症の息子を演じた演技派で、
すっとぼけてはいるが何処かイノセントな雰囲気はあの作品同様である。
しかし何と言ってもこの作品のキモは段役の舒淇の異常な存在感に尽きる。
超絶的な武術の持ち主にして非情で冷酷な美人の妖怪ハンターながら、
惚れた相手には一途で不器用でしかもツンデレと云う、
今なら確実に編集者からNGを出されるであろうベタな設定の持ち主なのに、
それを堂々と成立させてしまえるのは偏に舒淇の持つ雰囲気の賜物だろう。
個人的には久し振りだよな舒淇、えぇと・・・今幾つだ?え”38歳?マジか!
「色情男女」の頃から演技は上手かったし、身体のキレも当然なんだが、
なんで未だに所々こんなに可愛いかったりすんだ?
絶世の美女では無いがとにかく存在感が最高に耀いていて見事としか言えぬ。

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さて今回の映画もCGが満載では有るが、他の星爺監督作と同様に、
リアルに見せる為のCGでは無くマンガ表現の実現の為のCG描写が素晴らしい。
冒頭の水車が廻る多層的な漁村風景や、猪八戒の殺人食堂、
涅槃仏かよ!と云う無駄に壮大な五指山風景も素晴らしいイマジネーション。
妖怪の描写は無駄にリアルでもうちょっと漫画的でも良かった気もするが、
それでも孫悟空が薄らハゲから妖怪に戻ると、背中に幾本もの旗を差した、
華美な京劇スタイルに成る所などはケレンが効いていて喝采しそうに成る。
そして極め付けは「功夫」での超絶的な如来神掌の更なる超絶拡大版、
本当の仏による宇宙的な如来神掌の炸裂シーンだろう。
神々しいというよりスケールがデカ過ぎて笑うしかない過剰さである。
そして〆が噂に聞いていた「Gメン‘75」のテーマ曲である。
これはまあ香港・台湾・日本限定で大陸の連中はイミフだろうなぁ・・・
しかし星爺も幼き頃、倉田保昭とヤン・スエの限りなき闘いを、
興奮しながらTVで観ていたんだと思うと胸熱だなぁ・・・

とにかく、周星馳の事を知らずとも確実に楽しめる作品なのは間違い無し。
是非とも、是非とも劇場へ!

Go_west07
            星爺流石に老けたなぁ・・・・

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